技能実習制度が抱える課題とは?

 

こんにちは。今回は技能実習生に関する記事です。

外国人が日本で働いているのを見かける機会が数年前よりも増えたと思いませんか?彼らは日本で働くうえで様々な課題を抱えています。今回はその実態に迫っていきます!

 

 

技能実習制度は1993年に「発展途上国の人づくり」に寄与する活動としてスタートした制度です。

しかし、現在では国際貢献として始められたはずの本制度がその初志から大きくそれてしまっています。実態は企業が安価な労働力を酷使するために利用されている制度になっているのです。

 

そもそも技能実習制度とは何か?ということに関してはこちらの記事で触れてありますのでこちらをご参照ください!

jinnzai.hatenablog.com

それでは本題に入ります。

 

1 技能実習生が日本に来る目的

技能実習生が日本で働く主な目的は「出稼ぎ」です。本来であれば、特定の技能を習得するための研修期間のはずですが、実際は日本で働く理由は技術の習得ではなく、「お金を稼ぐため」なのです。

この時点で本来の趣旨とはズレていますが、その賃金さえもきちんと支払われていないのです。

外国人労働者は日本に来るために多額の借金をしてきます。それも本国の送り出し業者に多額の紹介料を支払い、日本で働くための準備を行います。この送り出し業者が日本で働いた場合の賃金を誇大に伝え、紹介料として法外な額のマージンを受け取ることで技能実習生は多額な借金を抱えた状態で日本にやってきます。

技能実習生は聞いていた賃金だと十分借金をペイできると信じていますが、実態は聞いていた額の給料は受け取れず、借金を払いきれずに、仕事を辞めて行方をくらまし、不法就労者となってしまうのです。

本来であれば、「健全な業者に頼む」「健全な送り出し機関に頼む」というのが望ましいですが、実際はそこまで手の行き届いた整備はなされていません。

では、送り出し機関、紹介業者とは何なのでしょうか。

2 送り出し機関の実態

まず、本題に入る前に、制度上の流れを把握しておきます。制度の仕組み上、技能実習生の受入れを希望する企業は監理団体(事業組合等)に連絡することから始まります。そこで企業側に問題がなければ、送り出し機関に赴き、面接を行います。面接に合格したベトナム人はまず、現地の日本語の教育機関において日本語や日本の職業に関する文化等を学びます。この期間は、約半年ほどで、この間に技能実習生は入管の準備をします。

技能実習生は面接合格後、送出し機関に様々な手数料を支払わなければなりません。

例えば、ベトナムの場合、この手数料については国が上限を定めていて、3年契約では3,600USドル(約40万円)以下となっていますが、実際に技能実習生が負担する額はこれを大幅に上回る金額(4,500~7,000USドル)になっているのが実態です。

元来、この保証金の徴収は違法であることから、技能実習法(後述)施行後は取り締まりが強化されたこともあり減少しているとはいえ、完全になくなったわけではありません。ここまで見ただけでもかなりの負担になりますが、この他にも、送出し機関が全寮制で行う教育にかかる授業料や生活費なども必要になります。

また、場合によってはブローカーへの謝礼が必要となります。これも、高いものは数千ドルに及ぶこともあり、これらを全て合わせると、少ない人で80万円程度、多い人では150万円を超える金額を用意しなければなりません。この金額のほとんどは、実習生当人が銀行や友人から借りるか、親族が借金して賄っているのです。実習生の負担額を高額化させている大元は送出し機関といえます。

3 受け入れ企業の課題

法務省が公表した「調査・検討結果報告書(2019年3月28日)」には、技能実習生の失踪については、実習機関の不正行為等が絡んでいることが報告されています。

その不正の多くはやはり「賃金未払い」によるものが多いです。

日本の労働力不足は深刻で、日系企業は躍起になって国内人材の取り合いをしています。企業が高い掲載料を払って採用活動をし、日本人を雇用してもすぐにやめてしまう現状があります。一方で技能実習生は少なくとも3年間は同企業に在籍し、残業や休日出勤も厭わずに働いてくれます。外国人技能実習生の存在は、企業にとって都合のいい存在なのです。そこで企業は外国人に十分な賃金を支払わず、安価な労働力確保としてしか、技能実習制度を見ていません。

4 まとめ

このように技能実習制度には日本側、相手国側双方に問題があることが分かりました。日本では人手不足が深刻化しており、外国人労働者の需要が今後も伸び続けるだけに、このような制度の欠陥には迅速な対応が必要でしょう。皆さんも街で外国人の方が働いているのを見かける機会が多いと思いますので、このような問題があるということを認識していただければ幸いです。